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公共・小・中学校図書館を渡り歩くさすらい司書のブログ

こわいけど、読んでみたい!『もじゃもじゃペーター』

f:id:saita-mariko:20210314114438p:plain 「もじゃもじゃペーター」を知っていますか?

もじゃもじゃペーター[新版]

もじゃもじゃペーター[新版]

本を読んだことが無くても、この独特の絵を見たことがある人は多いんじゃないんでしょうか?

「ぼうぼうあたま」という題名でも出版されています。

もじゃもじゃペーター

もじゃもじゃペーター

こちらは飯野和好さんが絵を描いているもの。少し毒々しさが和らいでいるような気がします。

みてごらん わあ もじゃもじゃペーター だ もう一年も りょう手のつめを きらないんだ かみのけだって くしを いれない わぁ きたないな みんながさけぶ もじゃもじゃ ペーター! 『もじゃもじゃペーター』より

表紙に描かれているこのなんともへんてこりんな格好をしたペーター。実は冒頭しか出てきません。 いったい何者なのか?謎のまま読み進めていくと、なんとも後味の悪いお話が次々と語られていきます。

もじゃもじゃペーターとは

『もじゃもじゃペーター』は、1845年にハインリッヒ・ホフマンにより発表された、ドイツの子供向け絵本である。 本書は韻を踏んだ文章による挿絵付きの10作の物語から構成され、そのほとんどは子供が主人公である。 どの作品でも、不品行とその結果による悲劇の顛末が誇張された表現で描かれ、明確な教訓が示される。 ウィキペディアより

医者であったホフマンが、三歳の息子のプレゼント用に納得出来る本が見つからなかったので、自ら作った本だそうです。それにしてもすごいお話をプレゼントしたものです。

出てくるお話はどれも教訓、というよりもホラーに近いです。小さな子供にはトラウマになるのではと心配になるぐらい。残酷なお話ばかりなのですが、怖いもの見たさでページをめくる手が止まらなくなります。

中でも特にゾクゾクするお話がこの2つです。

とてもかなしいマッチのはなし

留守番をしていた少女パウリンヒェン。 ふとマッチをみつけて、思わず火をつけてみたくなります。 そばで見ていた二匹の猫は「きみがもえちゃうよ!」と必死に忠告するのですが、結局少女はマッチをすってしまいます。 次第に火は少女の服に燃え移り、髪の毛が燃え、最後にはとうとう灰だけになってしまいます。

残ったのはきれいな靴一足だけ。

猫達は涙が川になるぐらい泣きじゃくり...という所で話は終わってしまいます。

おやゆびしゃぶりのはなし

きちんとお留守番をしているように言われたコンラート。 母親は、特に指しゃぶりをしてはいけないよ。しゃぶったら仕立て屋さんがやって来てハサミで親指を切っちゃうからね。と脅します。

けれどコントラートはいいつけを守らず、指をしゃぶってしまいました。

その瞬間...バタン!とドアが開いて、仕立て屋が大きなハサミを持って入ってきました。 無惨にも少年の親指はじょきじょきと切られてしまいます。

「いやだぁ!」と泣くコントラート。

あまりの残酷さで、出版当時から様々な批判があったそう。ですが、160年以上も読まれ続けドイツの家庭にたいてい一冊はあるといわれるほど馴染みの絵本とのこと。躾として使われるというよりも、ブラックユーモアとして親しまれてきたのでしょうね。

「もじゃもじゃペーター」以外にも怖いけど読んでしまう絵本があります。エドワード・ゴーリーの絵本です。

エドワード・ゴーリーはアメリカ出身の絵本作家です。緻密な絵が特徴的で、どの作品もブラックな結末が多く、カルト作家として有名です。なかでも「ギャシュリークラムのちびっ子たち」はアルファベットの名前順に子供達がただ悲惨な死を遂げていくという、なんとも後味の悪い話。ホフマンの作品が教訓めいているのに対して、ゴーリーは教訓も何もありません。理不尽にただ子供達が死んでいくだけです。完全にこれは大人向けの絵本だと思います。

絵本ナビでは全ぺージためし読みができます。

賛否が別れそうな内容ではありますが、本の中だからこそ普段は考えられないようなおぞましい世界を体験できます。個人的にはこの独特な世界観が嫌いではないのですが、さすがに子供達には読み聞かせできませんでした。