
図書館で懐かしい絵本をみつけました。
ハインリッヒ・ホフマン作の『もじゃもじゃペーター』です。子供の頃読んだことがあったのを思い出して借りてしまいました。本を読んだことが無くても、この独特の絵を見たことがある人は多いんじゃないんでしょうか?
こちらは飯野和好さんが絵を描いているもの。少し毒々しさが和らいでいるような。
みてごらん わあ
もじゃもじゃペーター だ
もう一年も りょう手のつめを
きらないんだ
かみのけだって
くしを
いれない
わぁ きたないな みんながさけぶ
もじゃもじゃ ペーター!
『もじゃもじゃペーター』より
表紙に描かれているこのなんともへんてこりんな格好をしたペーター。実は冒頭しか出てきません。
いったい何者なのか?謎のまま読み進めていくと、なんとも後味の悪いお話が次々と語られていきます。
『もじゃもじゃペーター』とは
『もじゃもじゃペーター』は、1845年にハインリッヒ・ホフマンにより発表された、ドイツの子供向け絵本である。
本書は韻を踏んだ文章による挿絵付きの10作の物語から構成され、そのほとんどは子供が主人公である。
どの作品でも、不品行とその結果による悲劇の顛末が誇張された表現で描かれ、明確な教訓が示される。
ウィキペディアより
医者であったホフマンが、三歳の息子のプレゼント用に納得出来る本が見つからなかったので、自ら作った本だそう。それにしてもすごいお話をプレゼントにしたものです。
出てくるお話はどれも教訓、というよりもホラーに近いです。小さな子供にはトラウマになるのでは。と心配になるぐらい残酷なお話ばかりなのですが、怖いもの見たさでページをめくる手が止まらないのですよー。
中でも特にゾクゾクするお話がこの2つ。
『とてもかなしいマッチのはなし』
留守番をしていた少女パウリンヒェン。
ふとマッチをみつけて、思わず火をつけてみたくなります。
そばで見ていた二匹の猫は『きみがもえちゃうよ!』と必死に忠告するのですが、結局少女はマッチをすってしまいます。
次第に火は少女の服に燃え移り、髪の毛が燃え、最後にはとうとう灰だけになってしまいます。
残ったのはきれいな靴一足だけ。
猫達は涙が川になるぐらい泣きじゃくり…という所で話は終わってしまいます。
『おやゆびしゃぶりのはなし』
きちんとお留守番をしているように言われたコンラート。
母親は、特に指しゃぶりをしてはいけないよ。しゃぶったら仕立て屋さんがやって来てハサミで親指を切っちゃうからね。と脅します。
いいつけを守らず、指をしゃぶってしまった少年。
その瞬間…バタン!とドアが開いて、仕立て屋が大きなハサミを持って入ってきてしまいました。
無惨にも少年はじょきじょきと親指を切られてしまいます。
『いやだぁ!』と泣くコントラート。
うーん、怖すぎる。
あまりの残酷さで、出版当時から様々な批判があったそうですが、160年以上も読まれ続けドイツの家庭にたいてい一冊はあるといわれるほど馴染みの絵本とのこと。躾として使われるというよりも、ブラックユーモアとして親しまれてきたのでしょうかね。
『もじゃもじゃペーター』を読んでいると、ふとエドワード・ゴーリーの作品を思い出しました。

- 作者: エドワードゴーリー,Edward Gorey,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2000/10/01
- メディア: 単行本
賛否が別れそうな内容ではありますが、本の中だからこそ普段は考えられないようなおぞましい世界を体験できるのでしょうね。個人的には独特な世界観が嫌いではないのですが、さすがに子供達には読み聞かせできませんねー。トラウマになっちゃいます。

- 作者: ハインリッヒ・ホフマン,伊藤光昌,伊藤良昌,いとうようじ
- 出版社/メーカー: 五倫文庫
- 発売日: 2006/08
- メディア: 単行本
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